2009年4月23日木曜日

残遺型

統合失調症の厄介なところは、治療を続ける最中に別の症状が現れる事もあるという事です。
精神疾患なので、完全治癒をレントゲン写真や血液検査のデータなどからはっきりと確認する事はできません。
その為、治ったと思ってもまた発症したり、治す途中で治療法があっておらず、ストレスからまったく別の精神疾患を患ったりするケースというケースは少なくないようです。

その中にあって、統合失調症は特にそうしたケースがよく見られます。
分類が多いことからもわかる通り、統合失調症は複数の疾病を抱える事もありえます。
また、その治療の中で、別の分類の統合失調症が発症する事もあるようです。
その例としてよく挙がるのが、「残遺型」と呼ばれるタイプです。

残遺型というのは、緊張型や破瓜型、妄想型といった統合失調症がピークを過ぎ、慢性期を迎えている状態を指します。
大きな波を越え、幻覚や幻聴といった非常にわかりやすい、そして実生活に大きな影響を与える症状が収まり、治ったような状態となっているものの、まだ症状が残っているという状態を残遺型と言います。
症状としては、感情表現の欠落、無気力、思考能力や表情の著しい変化のなさなどが挙げられるようです。
物事に関して無関心な状態が多く見られます。

ただ、こうした状態は、ある意味パーソナリティとして認められる範囲ではあります。
ですので、病気と呼んでいいギリギリのラインと言えるかもしれません。
その為、ある意味統合失調症の後遺症とも言えるような状態ですし、要治療ともいえる状態です。

例えば、大きな出来事によってトラウマを受け、自閉症のような状態になり、それが徐々に改善して日常生活を送れるようになったものの、まだ完全ではなく、感情を表に出す事がなくなった・・という、ドラマなどでよく見られる登場人物は、ある意味残遺型の統合失調症なのかもしれません。

2009年4月22日水曜日

緊張型

統合失調症と一言で言っても、その分類は結構多いのですが、その中には日本では多い症例のものもあれば、極めて少ないものもあります。
緊張型と呼ばれるものは、統合失調症の中にあって日本ではかなり少ない部類に入る病気です。

緊張型は、20歳前後の方がよく発症する統合失調症のひとつで、近年ではかなり稀なケースと言われています。
現代においては、環境的にあまり緊張型の原因となるものが多くないという事なのでしょう。

緊張型の特徴は、所謂突発性の感情暴発です。
つまり、いきなり理由もなく興奮し、怒号を発し、情緒不安定になるというタイプの統合失調症という事になります。
発症の状態が非常にコロコロと変化するのも特徴のひとつで、一日単位で変わっていくので、周りの人にとってはかなり接する事が困難と言えます。
ただ、緊張型は統合失調症の中では軽度のものとも言われており、数ヶ月で治るケースも多いようです。
あまりに長期的に症状が続く場合は人格崩壊の恐れもありますが、近年ではそういうケースは稀だそうです。

これだけを見ると、ただ情緒不安定で感情の起伏が激しい人との区別が付きにくい病気のように思われますが、実際の統合失調症の患者の場合は、興奮した際に通常とは違う挙動を見せます。
例えば、同じ姿勢を継続し、昏迷状態に陥って、回りの声に反応を示さなくなるといった状態になったりします。
意識はあるようなので、実際には聞こえているようなのですが、同じ体勢のまま固まって動かないそうです。
この状態の時に心無い言葉を患者に浴びせると、それを患者は認識し、心の傷となる事も多いようですね。

緊張型の統合失調症は、現在ではあまり見られない病気ではありますが、周りの理解が比較的難しい病気と言えます。

2009年4月21日火曜日

破瓜型

統合失調症における分類のうち、破瓜型は比較的低年齢層に発生するタイプと言われています。
「解体型」とも呼ばれている破瓜型の統合失調症は、思春期前半から発症するケースも多く、大体15†25歳くらいの年齢の方が多いと言われています。
日本人の統合失調症患者の中では、破瓜型はかなり多い方ですね。
つまり、日本は比較的この破瓜型に陥りやすい環境であるという見方もできます。

破瓜型の特徴は、感情表現の欠落にあります。
初期症状として見られるのは関心や意欲の低下で、何に対しても無気力になってしまうというケースが多いようです。
初期の段階では、幻覚を見たり妄想を過度に働かせたりはしないようです。
そして無気力状態が続く中、徐々に他者とのコミュニケーションを拒絶し、思考が現実との整合性を失っていき、最終的には人格が崩壊、荒廃するというのが、この破瓜型の病状といえます。

これだけ見ると、最近日本で問題となっている、とある病気を連想する方も多いのではないでしょうか。
そう、自閉症です。
統合失調症の破瓜型というのは、自閉症とかなり共通点が多いのです。
近い病気といえるのかもしれません。
他者との関わりを過剰に拒む結果、精神の安定を欠き、過敏になり、同時に無気力状態が進行し、バランスが崩壊していくという点においては、自閉症とほぼ同じかと思います。
現代の日本で非常に多く見られる病気のひとつです。
ただ、統合失調症と自閉症はやや異なる部分もあるので、全く同じという事ではないようです。

2009年4月20日月曜日

妄想型

統合失調症の分類の中のひとつである、「妄想型」は、その名の通り妄想が病気の直接的な要素となります。
世の中には、妄想癖という癖があるくらい、妄想自体は普通にまかり通っているものですよね。
実際、妄想をしない人間なんてまずいません。
これが病気と言われれば、世の中の人間全てが病気という事になります。
従って、ただ妄想しているだけが統合失調症というわけではありません。

妄想型というのは、妄想の世界と現実の世界の境界がわからなくなった人が主に該当します。
妄想というものが頭の中で描かれた虚構の世界であるということを理解できなくなったり、理解はしていてもそれが現実であるかのように振舞う事しかできなくなった場合に、統合失調症であると判断されるようです。
このタイプの特徴は、自閉的にはならず、社交的な状態でも進行しているという所です。
実生活では普通に振舞っている状態でも、誇大妄想、被害妄想といったものがとあるきっかけで暴走するケースなどがよくあります。

この妄想型が、統合失調症という病気に該当するかどうか非常に難しいところではあります。
よく漫画などで、妄想癖のあるキャラクター、異様に嫉妬深いキャラクターなどが出てきますが、あれは現実にそういう人が結構多いからこそ成り立つのです。
つまり、ある程度妄想型に該当しそうな人は多いのではないかという推測が成り立ちます。

それこそ、周囲の人間に多大な迷惑を与える、特に罪を犯すというレベルに達した人の場合は問答無用で統合失調症と判断されるでしょうが、そこまでいかない場合は果たしてどうなのか、という点においては、診断が難しい病気と言えるでしょう。
妄想型は、よく犯罪の動機としても用いられます。
その為、病気として良いかどうかという判断材料はかなり研究されているようです。

2009年4月19日日曜日

統合失調症の分類

統合失調症は、非常に複雑な病気です。
精神疾患自体がそういう傾向の強い病気で、ひとつの病名で括ってはいても、原因、症状、治療方法は全く異なるというケースは珍しくありません。
実際、優秀な精神科医の方はひとつの病気で括る事はせず、その患者独特の治療法を模索するために、様々な質問をぶつけると言います。
人の数だけケースがあるというのが精神疾患の特徴と言えるでしょう。

ただ、それはあくまで治療を視野に入れての事で、解説として語る上では少なからずカテゴライズが必要です。
ここでは、統合失調症の分類について、すこし触れていきます。

統合失調症は、主に5つのパターンがあると言われています。
妄想型、破瓜型、緊張型、残遺型、単純型の5種類です。
統合失調症を患った場合、まずどの種類に分類されるのかを正確に見極めたうえで、治療にあたるという事になります。
この段階で、既に全く違う病気と言っても過言ではありません。
つまり、分類の違う妄想型と緊張型では原因も治療方法も異なるという事です。
精神疾患の厄介な面ですね。

統合失調症は、数多くの病気の集合体と考えていいかもしれません。
ひとつに括られているものの、原因がはっきりしない以上は、別の病気であると考えても良いでしょう。
ある意味、統合失調症という名称は付いていても、精神疾患という大きな括りとそれほど変わらないと言えるかもしれません
だからこそ「統合」という言葉が用いられているのです。

2009年4月18日土曜日

神経発達障害仮説、心因仮説など

統合失調症には、いくつかの要因が考えられています。
その中には、神経発達障害が原因なのではないかという考えもあるようです。
人間の身体は、細胞の塊ですよね。
細胞は、毎日数多く死に絶え、同時に生まれています。

それは脳も同じで、神経細胞はどんどん死に絶え、死骸となっています。
その死骸を掃除するのが「グリア細胞」と呼ばれるものですが、統合失調症になると、そのグリア細胞が増えないと言われています。
これが胎児の状態から既に起きているのではないか、というのが「神経発達障害仮説」です。
胎児期に神経発達を妨げる現象が起こり、そこで脳に異常が発生していて、思春期などに統合失調症として発生するのではないか、という説です。

「心因仮説」というものもあります。
これは、そのまま心に問題があるという仮説です。
ですが、精神疾患でありがちな、人間関係や虐待、心的外傷が要因とはされていません。
コミュニケーション能力の問題のようです。
通常、コミュニケーションは言葉で行いますが、言葉をそのまま鵜呑みにせず、行間を読むというのが一般的なコミュニケーションのやり方です。
しかし、それができず、そのままの解釈しか交流が成立しないという人が中にはいます。
この環境を生み出した事こそが、統合失調症の要因では?と考えられているようですね。

また、「前頭葉機能低下仮説」というものもあります。
脳の前頭葉の機能、とりわけワーキングメモリーと呼ばれる部分の能力が十分に働いておらず、話は聞いていても意味を理解できないという状態になっている人が、統合失調症になるのではないか、という説です。

こういった仮設は、全て正しいかもしれません。
複合的な問題が絡み合った結果、統合失調症という病気が発生するのではないでしょうか。
これらの原因が特定されるまでは、まだ時間がかかりそうです。

2009年4月17日金曜日

ドーパミン仮説とグルタミン酸仮説

ここからは、統合失調症の原因なのでは?と言われているいくつかの仮説について検証していきます。

まず、「ドーパミン仮説」についてです。
ドーパミンというのは、中枢神経系にある神経伝達物質のひとつです。
アドレナリンの前躯体としても知られていますね。
比較的よく使われる言葉かと思います。
このドーパミン作動性神経が、統合失調症になると上手く作用しない事から、統合失調症を発症するのはドーパミンが原因であるという仮説が立てられました。
つまり、神経を伝達する物質が異常をきたし、五感に誤認識をさせるという事ですね。
実際、麻薬などを使用した場合、幻覚などを見るという症状が現れますが、それはドーパミンの暴走によるものと言われています。
これと似た症状が脳内で起こっているというのが、ドーパミン仮説です。

また、グルタミン酸仮説というものもあります。
これは、ドーパミン仮説では説明できない部分がある事から生まれた仮説です。
フェンサイクリジンというかつて麻酔薬として使われていた薬を使用すると、現在の統合失調症と同じ症状が現れました。
このフェンサイクリジンには、グルタミン酸神経受容体を塞ぎ、神経活動を抑えるという特徴がありました。
その為、グルタミン酸が影響しているという結論に至り、結果同じような症状である統合失調症にグルタミン酸が関与している可能性が高い、という仮説が立つに至ったのです。
現在ではドーパミン仮設以上に信憑性が高いのではないかと言われています。