2010年5月8日土曜日

統合失調症の作業療法

統合失調症の治療に関しては、しっかりしたプロセスが必要となってきます。
まず、患者自身に対して統合失調症であるという自覚を持たせます。
ここが一番重要であるというのは、心理療法の項目で記したとおりです。
自覚してもらえれば、薬の処方を行い、服用してもらうことで、症状の抑制が可能となります。

統合失調症と一言で言っても程度は様々で、薬によってその症状を抑えるだけで日常生活を送れるようになる患者も大勢います。
そういう場合は、薬の処方と心理療法のみで経過を待つことになるでしょう。
ですが、中にはかなり重度な統合失調症の患者もいます。
そういう場合は、ただ薬で症状を抑えるだけでは社会復帰は難しいようです。
そこで、ソーシャル・スキル・トレーニングや、作業療法を行う事になります。

ソーシャル・スキル・トレーニングというのは、社会的技能の回復を図る治療方法です。
社会的技能というのは、他者とのコミュニケーションがほとんどの割合を占めます。
あるいは一般常識などの形成も含まれます。
これらをしっかりこなせる為に、グループを作り、その中で訓練を積んでいくといった治療がされています。

また、作業療法も同様に行われます。
これは、日常生活を送る事が困難な状態の患者に対して行われる治療です。
作業療法の主な内容は、単純作業・創作作業・スポーツなどです。
例えば、絵を描いたり、陶芸や園芸を行ったり、簡単なスポーツを行ったりする事で、ストレスを解消し、情緒の安定や思考のまとまりを扶助するというものです。
作業療法は、精神疾患において非常に効果の期待できる治療と言われています。

2010年5月7日金曜日

統合失調症の心理療法

統合失調症における一番スタンダードな治療法は薬物療法ですが、薬だけでは治らないケースも多いとされています。
特に、陰性症状の場合は薬だけで治療という事はほとんどなく、別の方法と併用して行われます。
心理療法もその中のひとつです。

統合失調症の場合、薬に対して非常に大きな嫌悪感を抱く人も多く、また、自分が精神疾患であると認められない人も多いようです。
そういった人たちに対し、まず「貴方は統合失調症である」という事を認識させ、治療が必要なのだという事をわかってもらうことが必要なのですが、この際に心理療法が用いられます。

心理療法というのは、いわゆるセラピーに近いものです。
精神面の回復を図る為、様々な試みを用いて患者をリラックス、安心させる事を主な目的としています。
統合失調症においては、自閉、人を信じられない、過敏性など、精神面での問題がかなり重複します。
これをひとつひとつ解きほぐし、少しずつ治療していくのが、心理療法なのです。

心理療法によって自分が病気であると自覚した患者は、ほとんどの人がその病気を治したいと思います。
そうなると、だいぶ治療は進みやすくなります。
薬も素直に服用し、社会復帰の為に必要なトレーニングもこなすようになります。
そうなる為には、心理療法における先生と患者の信頼関係が必要です。
心理療法は、信頼を築く事が何より重要なのです。

正常な状態の人と信頼関係を築くのでさえ難しい中、自閉などの症状に陥っている人との信頼を築くというのは、甚だ困難ですが、それを可能とするのが統合失調症の治療の為にこれまで培われてきた研究であると言えます。

2010年5月6日木曜日

統合失調症の薬物療法

統合失調症は、精神疾患の一種です。
もしも、統合失調症になってしまった場合、一体どうやって治療するのでしょう。

通常の精神疾患の場合、軽度な症状の時には精神安定剤が処方されます。
ただ、中には安易にこの精神安定剤を処方する病院もあります。
精神疾患に対して深く分析せず、まるでさじを投げるかのように、精神安定剤のひとつ覚えで処置をしているというケースが結構見受けられるようです。
実際、90年代まではそういう状態でした。

今は、精神疾患への理解が深まってきている事から、その兆候がある患者に対してはしっかり薬の処方がされています。
統合失調症と診断された方の場合、ドーパミンD2受容体拮抗作用をはじめ、様々な薬を処方しているようです。
ただ、統合失調症に使用する治療薬は、副作用が強いもの、高価なものが多い為、非常に難しいというのが問題点としてあります。
パーキンソン症候群を引き起こす事もあるそうです。

とはいえ、薬で症状を抑えなければ、統合失調症はかなりの確率で再発します。
自我を崩壊させてしまう事にもつながりかねません。
精神の制御を自身ではできないからこそ統合失調症であり、そこに薬の処方がなされないと、かなり厳しい事になります。
また、統合失調症の患者は薬を嫌い、処方されても服用しない方も結構いるようです。
精神疾患全体にいえる、自分が病気だとは信じられないというケース、あるいは統合失調症の症状のひとつである他者を一切信じなくなるケースなどが、薬の服用を拒むパターンとして見受けられます。

そういう意味では、まだ万人向けの対処法が確立していない病気と言えるのかもしれません。

2010年5月5日水曜日

幻覚・幻視

統合失調症においては、「幻聴」と並び、非常に多く見られる症状のひとつに数えられるのが、幻視・幻覚です。

幻覚というのは、実際にないものが見える症状の事です。
当然、それは正常な状態ではありません。
ただ、こういった症状に関しては、統合失調症特有のものというわけではありません。
また、精神疾患特有のものというわけでもありません
それどころか、正常な状態の人であっても、幻覚を見たことがあるという人は沢山います。
全人口の4分の1くらいは、一度は幻覚を見たことがあるという調査結果があるそうです。
疲労やアルコール摂取によってそういった症状が一時的に起こるという事は珍しくないとされています。

ただ、統合失調症の幻覚の場合はかなり危険です。
頻度が高く、より鮮明に映るようです。
その為、その幻覚に対して戸惑いを覚えるのではなく、その幻覚が実際に存在しているものとして認識し、それに対して何らかの反応を示します。
その結果、周りから見ると異常な行動を取っているように映りますし、その行動が原因で他者を傷つけることもあるようです。

幻覚という症状は、麻薬やアルコールによって引き起こされる事が多いとされています。
その為、統合失調症とみなされる前に、まず麻薬やアルコールの中毒を疑われます。
これによって、さらに患者が心に傷を負うこともあるようです。
特に、麻薬に関しては、疑われれば相当に傷つく事になります。
そういう意味では、幻視・幻覚の症状をきたす統合失調症は、発見が難しい病気なのかもしれません。

2010年5月4日火曜日

幻聴

統合失調症において、頻繁に発症する症状は、幻聴や幻覚などといったものです。
これはそのまま妄想につながる事もありますし、独立した症状として発展していく事もあります。
統合失調症における最も基本的な症状のひとつと言って良いでしょう。

幻聴は、実際にはない音や声が聞こえているかのような状態になる事です。
少なからず、常態の方であっても起こり得る症状ではあります。
ストレスなどで身体が弱っている時、誰かの声が聞こえたような気がするということはないでしょうか。
知っている人が声を掛けてきたと思い込んだり、誰かが家を訪ねてきた時の声がした、と感じたりする事は、誰もが経験する事だと思います。

しかし、統合失調症における幻聴は、そういった単発的なものではなく、常に声や音が聞こえている状態です。
例えば、自分の悪口が聞こえてきたり、命令する声が聞こえたりというような、自分にとってマイナスとなる声が聞こえてくるケースが多いようです。

よく、殺人事件などが起こった際に、その弁明に「悪魔の声が聞こえた」などという供述がされていますね。
この場合も、まず統合失調症が疑われるようです。
実際にそうだったのかどうかは、精神鑑定によって明らかとなります。

こういった幻聴の症状を周りの人が判断する場合は、いくつかの基準があります。
例えば、独り言を延々と言っている人や、何もない、誰もない所に向かって話したり怒鳴ったりしている人に関しては、幻聴を疑っていいかと思います。
この症状は、患者にとってはかなり深刻で、日常生活を送れない状態になる事が多々あるようです。

2010年5月3日月曜日

嫉妬妄想・恋愛妄想

統合失調症における妄想は、恋愛に関してもかなり大きく現れるようです。
恋愛がらみで統合失調症になったという人も、少なからず存在しています。
それは、恋愛というものが大きな精神的苦痛を伴う事が多々あるからです。
統合失調症の要因のひとつであるトラウマにしても、大きなストレス、ショックにしても、恋愛にはよく起こりうる負荷なのです。

まず、「嫉妬妄想」がこれに該当します。
嫉妬妄想というのは、簡単に言えば病的な嫉妬です。
浮気や不倫をされていると信じ込み、携帯電話を逐一チェックしたり、浮気の痕跡がないか衣服や財布などを念入りに調べたりと、常軌を逸した執着を見せる場合、嫉妬妄想という診断が下されるでしょう。

これは、少なからず多くの人が該当するものと言えるかもしれません。
嫉妬深いというのは性格として普通に存在します。
その程度によって病気か否か、という事になるのは、ボーダーラインの設定が非常に難しいのですが、明らかに自我に異常があり、殺傷の可能性もあるという状態になると、精神疾患とみなされるようです。

また、「恋愛妄想」という直球の妄想もあります。
これは、相手に対して過剰な量の好意的なメールを送ったり、電話を時間に関係なく掛け続けたり、家の前でじっと覗いていたりなど、いわゆるストーカー的な行動を取る人に対して診断される疾患です。
簡単に言えば、ストーカーの要因という事になります。
これも性格的なものとのボーダーを引きにくくはありますが、明らかに被害者が存在しているという場合は、恋愛妄想とみなされるようです。
ドラマや漫画などでは割とよく見るタイプかもしれませんが、現実世界では病気とみなされます。

2010年5月2日日曜日

心気妄想・被毒妄想

統合失調症には、陽性症状と陰性症状があります。
妄想の類は陽性症状という分類ですが、「心気妄想」と呼ばれるものは、むしろ陰性症状のひとつとみなされています。
それは、この妄想には幻聴、あるいは幻嗅といったものが大きく関わってくるからです。
これらは通常、統合失調症における陰性症状とみなされますから、心気妄想も陰性と言って良いでしょう。

心気妄想というのは、自分から臭いにおいが発せられている、あるいは自分の身体の形がおかしい、などという誤認識を思い込みとして信じている状態の事です。
実際にはそういう事実はないにも拘らず、そう思い込む原因はいくつかありますが、一番はやはり被害妄想によるものでしょう。

統合失調症の状態だと、周りからヒソヒソ話が聞こえてくる時、自分が中傷を受けているという被害妄想が働きますが、その中傷される原因が自分の身体にあるのでは、という考えから、こういった心気妄想に発展するケースが多いようです。
酷くなると、身体の中に虫が入り込んでいるような幻覚が現れるようです。

また、「被毒妄想」というものもあります。
被毒妄想も被害妄想の一種で、自分が毒を盛られるのでは、という思い込みに囚われ、食事をとれない状態になるようです。
家族の手料理にも一切口をつけなくなります。
この場合は、1人でこっそり食事をするという状態になります。
この症状は、被害妄想の中でもかなり厄介で、酷くなると何も口にできなくなるという状態になります。