2010年2月28日日曜日

宗教妄想

統合失調症の陽性症状には、「宗教妄想」という分類をされる症状もあります。
これは、誇大妄想に近い、あるいはその中のひとつという分類をされる事もありますが、ここでは独立したひとつの種類として取り扱います。

統合失調症における宗教妄想というのは、簡単にいうと自分を神、もしくはその生まれ変わりであると信じ、それを実際に周りの人に話すというタイプの症状です。
誇大妄想に近いというのは、自分を極限まで誇大しているからですね。

世界は自分を中心に回っている。
自分は世界の救済者である。
来るべき時に備え、自分は神となって自分を信じる民を救う使命がある。
現在の世の中を壊し、新たな楽園を作る。
などといった、漫画などでよく見られがちな思想にふける状態がよく見られます。

また、自身を神と信じるだけでなく、他の何かを神と信じ、その神の為には手段を選ばない状態も宗教妄想といえます。
こういった精神疾患は、度々大きな事件を呼び起こしていました。
一番有名なのは、大きな社会問題ともなったオウム真理教でしょう。

宗教妄想というのは、ある意味最も危険な状態といえます。
宗教にはまるという言葉がありますが、この極限状態がこの宗教妄想です。
厄介なのは、自身、もしくはその宗教に対して、盲目的な状態になっている為、理想実現の為には他者を傷つける事を厭わないという点です。
その為、大きな事件になりやすいという性質があります。

病気の診断に関しては、比較的易しい部類と言えます。
だれでもその異常性には気付くことができるからです。
そして、この宗教妄想は統合失調症の中では多い部類に入ります。
こういう時代だからこそ、多くなっているのかもしれません。

2010年2月27日土曜日

関係妄想

統合失調症における妄想は、いくつかの種類に分類されています。
その中のひとつに、「関係妄想」という症状があります。
被害妄想とも通じるところがありますが、分けて考えるのが一般的のようです。

統合失調症の妄想の中にあって、関係妄想はある意味基礎的な部分と言えるかもしれません。
というのも、関係妄想は、他者の行動や表情などが、自分と関係しているという妄想をするというものだからです。
例えば、街を歩いている時に、後ろから笑い声がしたとします。
すると、その笑い声は自分を嘲笑しているのではないかという妄想が働きます。
これが関係妄想です。

この例だけを見ると、普通の人でも多少なりともあり得る発想ではないかと思われるかもしれません。
実際、それは正しいでしょう。
しかし、統合失調症における関係妄想というのは、これを常に断定する状態に陥っているのです。
その結果、常に自分は好奇の目に晒されている、笑われている、という妄想にとり憑かれ、精神を蝕んでいく状況になってしまいます。
これは、被害妄想ともかなり近い部類と言えます。

関係妄想は酷くなってくると、ヒソヒソ話は全て自分の事を話していると断定したり、特定の歌の歌詞が自分の事を言っていると思い込んだり、テレビや新聞で組まれた特集が自分の事を指し、笑いものにする為にやっていると思い込んだり、という症状がでてくるのです。
こうなると、最終的には自我が崩壊してしまう可能性もあります。

2010年2月26日金曜日

被害妄想

統合失調症における陽性症状にはいくつかの種類があります。
その中のひとつが妄想ですが、この妄想もいくつかの種類に分類できます。
そうやって細分化された中にあって、特に近年増加しているタイプというのが、被害妄想です。

統合失調症において、ある意味一番スタンダードな部分が被害妄想かもしれません。
同時に、一般人にとってもかなり馴染みのあるもので、それ故に統合失調症という病気とは結び付けられないケースが多々あります。
実際、性格的な部分で処理される事が多い症状です。

被害妄想というのは、実際にはそうではないのに、自分が被害にあっているという思い込みが極端に強い状態の事です。
小さい点で例を挙げると、周りの人が皆自分を中傷しているような妄想にかられる状態です。
これは思春期によく起こる例ですが、道や廊下を歩いていて、そこでひそひそ話をしているグループを見かけると、その人たちが皆自分の悪口を話していたり、自分を蔑視したりしているのではないかという思考に囚われるという事はないでしょうか。
これが被害妄想の一番顕著な例です。

これが酷くなると、誰に対しても自分に何か被害を及ぼすような画策を練っているとか、常に自分を落としいれようという考えがあるとか、自分を軽視、蔑視しているとか、そういった考えしかできない状態になっていき、その妄想に対して攻撃的、あるいは悲観的、絶望的なイメージを膨らませていくようになります。
その結果、暴力を振るったり、引きこもりになったり、あるいは自ら命を絶とうとしたりする事になるのです。
周囲とのトラブルが絶えない人の場合、この被害妄想という症状がかなりの確率であてはまります。
被害妄想は立派な病気なのですが、そう認識される事は少ないようです。

2010年2月25日木曜日

陰性症状

統合失調症は、陽性症状と陰性症状の二つに分かれます。
陽性は妄想や幻覚といった、現実と剥離した部分での症状です。
では、陰性症状というのは、どのような症状を指すのでしょう。

統合失調症における陰性症状は、無気力、無関心、思考能力や感情表現の著しい低下、自我失調など、所謂自閉症や引きこもりに見られる症状の事を指します。
陰性という言葉と掛けているのか、陰に隠れて見えにくい症状であると言えます。

統合失調症は、現実との剥離という部分が大きなウエイトを占めていますが、陰性症状の場合は、現実的な剥離を示します。
その要因は様々ですが、単に自分の思惑や欲求によって社会との乖離を望むのではなく、精神状態が他者とのコミュニケーションを図る段階から遠ざかってしまっている状態に陥っている場合、陰性症状となります。

自閉や引きこもりという状態は、他者との交流を一切拒絶する状態です。
最近はこういった症状に関して安易にテレビなどで報道されていますが、その全てが同じものとは限りません。
中には単に楽をして暮らしたいだけの人もいますし、うつ病の人もいますし、統合失調症の人もいるでしょう。

同様に、感情が著しく鈍くなっているケースにしてもそうです。
あえてそうしている人もいますし、意識的にではなくそうなっている人もいます。

陰性症状の場合、そういった面がかなり周りの理解において難しいと言えます。
思考能力の崩壊というところまで行かないと、病気と判断できないというのが一般的な現状かもしれません。

2010年2月24日水曜日

陽性症状

統合失調症の症状を大きく分類すると、陽性症状と陰性症状の二つに分けられます。
これは、別に陽性だから良い、陰性だから悪い、という事はなく、症状によって二つに分けているというだけです。

例えばエイズなどで陽性、陰性という診断結果がありますが、この場合は陽性だとその病気であると診断されたという事であり、陰性だと違うという診断結果が出たという事になりますよね。
しかし、統合失調症の陽性症状と陰性症状は、この類ではありません。

統合失調症における陽性というのは、現実ではない部分における症状を指します。
つまり、幻覚、幻聴、妄想といった症状です。
精神疾患において、最も他者の理解を得にくい症状と言っていいかもしれません。
だからこそ厄介であり、専門的な治療が必要となってきます。

統合失調症における妄想や幻覚というのは、性格や直接的な外的要因によるものは含まれません。
例えば、子供の頃から空想好きで、妄想が得意という人も結構いるかと思います。
そういうものは、当然ながら精神疾患ではありません。
また、麻薬などによって幻覚を見る場合も、統合失調症という事にはなりません。
何らかの精神的要因が、これらの症状を引き起こしているという場合に、統合失調症の陽性症状であると診断されます。

幻覚というと、かなり精神的に突飛な人が見るもの、という印象が未だに根強いですが、実際にはそうとも限りません。
脳のメカニズムの研究が進む現代では、こういった症状というのは決して一般人と遠いところにはないという事が既に判明しています。
例えば、大怪我を負って腕を切断した場合、もう腕はないのにその部分が痛いという症状に悩まされる事がままあります。
こういった事も、ある意味幻の一種なのです。

2010年2月23日火曜日

統合失調症の症状は多種多彩

統合失調症は、精神疾患の中でも比較的広いカテゴライズの病気です。
その為、分類も多いのですが、それ以上に症状が非常に多種に渡っています。
そして、同時にその数だけ治療法があると言えます。
これは、通常の病気とはやや異なる点と言えます。

例えば、風邪の症状は、熱、喉の痛み、咳、鼻水、寒気、胃や腸の痛み、関節の痛み、頭痛、食欲不振など非常に多いものの、基本的には個別で見る事なく、風邪として全て同じ治療法を用いられますよね。
しかし、統合失調症の場合はそういうわけにはいきません。
症状にあわせた治療法が必要となります。
その為、統合失調症はまず自分自身がどういった症状を患っているかという事をしっかり把握しなくてはならないのです。
難しいですが、これができなければ、なかなか治療は上手くいかないでしょう。

統合失調症の症状は、基本的には精神疾患によく見られるものばかりです。
例えば、幻覚を見たり、幻聴を聞いたり、思考がまとまらず支離滅裂な言動をしたり、急に感情が暴発したり、無気力無関心になったりと、あらゆる精神疾患の症状が認められるという感じです。
その為、統合失調症は、ある意味精神疾患の代表的な病気といえるかもしれません。

精神疾患から引き起こされる症状は、周りの人の理解が必要です。
まだ一般認識が高くないので、統合失調症という病気自体を知らず、安易にうつとか性格によるものという考え方をされがちですが、それだといつまで経っても治癒は難しいでしょう。
まず、統合失調症にどのような症状があるのかをしっかり把握し、自分、あるいは周りの人にそれが該当しないか考えてみてください。

2010年2月22日月曜日

単純型

統合失調症は、5つの分類がなされていますが、場合によっては4つとみなされている事もあります。
実際には4つである事が多いようですね。
では、5つの中の何が数えられないケースが多いのかというと、「単純型」と呼ばれるタイプの統合失調症です。

単純型は、破瓜型に吸収合併して認識されている事が多いタイプです。
つまり、単純型は破瓜型の一種という感じです。
破瓜型の進行速度が緩やかな状態を、単純型と呼ぶようです。

進行速度が遅いというのは、一見早いよりはいいと思われがちですが、実はこと統合失調症に関しては厄介な事が多いのです。
精神疾患全体にいえることですが、緩やかな変化の場合、多くの人がそれを病気だと認識できないからです。

例えば、急に性格が変わって、急におかしな言動が増え、急に行動が突飛になり、急に情緒不安定になった、という場合、精神面での問題点を考えますよね。
その程度があまりに酷い場合は精神疾患を思い浮かべる人も出てくるでしょう。
しかし、緩やかな変化の場合、それはパーソナリティの問題であるとみなされる事がほとんどです。
徐々に能動的な行動が減り、無気力、無関心といった状態が続き、やがて部屋に引きこもるという緩やかなプロセスを経ていると、それはただ個人の性格上そうなったという認識をされる事が多いようです。

単純型は、年配者に多く見られるようです。
最初はうつ病を疑って病院を訪れる方も多いようですが、実際には統合失調症とうつ病は異なります。
統合失調症の場合は、言動や行動に少なからず異常が出てくるからです。
よって、それが原因で職を失ってしまう方も多いようです。

2010年2月21日日曜日

残遺型

統合失調症の厄介なところは、治療を続ける最中に別の症状が現れる事もあるという事です。
精神疾患なので、完全治癒をレントゲン写真や血液検査のデータなどからはっきりと確認する事はできません。
その為、治ったと思ってもまた発症したり、治す途中で治療法があっておらず、ストレスからまったく別の精神疾患を患ったりするケースというケースは少なくないようです。

その中にあって、統合失調症は特にそうしたケースがよく見られます。
分類が多いことからもわかる通り、統合失調症は複数の疾病を抱える事もありえます。
また、その治療の中で、別の分類の統合失調症が発症する事もあるようです。
その例としてよく挙がるのが、「残遺型」と呼ばれるタイプです。

残遺型というのは、緊張型や破瓜型、妄想型といった統合失調症がピークを過ぎ、慢性期を迎えている状態を指します。
大きな波を越え、幻覚や幻聴といった非常にわかりやすい、そして実生活に大きな影響を与える症状が収まり、治ったような状態となっているものの、まだ症状が残っているという状態を残遺型と言います。
症状としては、感情表現の欠落、無気力、思考能力や表情の著しい変化のなさなどが挙げられるようです。
物事に関して無関心な状態が多く見られます。

ただ、こうした状態は、ある意味パーソナリティとして認められる範囲ではあります。
ですので、病気と呼んでいいギリギリのラインと言えるかもしれません。
その為、ある意味統合失調症の後遺症とも言えるような状態ですし、要治療ともいえる状態です。

例えば、大きな出来事によってトラウマを受け、自閉症のような状態になり、それが徐々に改善して日常生活を送れるようになったものの、まだ完全ではなく、感情を表に出す事がなくなった・・という、ドラマなどでよく見られる登場人物は、ある意味残遺型の統合失調症なのかもしれません。

2010年2月20日土曜日

緊張型

統合失調症と一言で言っても、その分類は結構多いのですが、その中には日本では多い症例のものもあれば、極めて少ないものもあります。
緊張型と呼ばれるものは、統合失調症の中にあって日本ではかなり少ない部類に入る病気です。

緊張型は、20歳前後の方がよく発症する統合失調症のひとつで、近年ではかなり稀なケースと言われています。
現代においては、環境的にあまり緊張型の原因となるものが多くないという事なのでしょう。

緊張型の特徴は、所謂突発性の感情暴発です。
つまり、いきなり理由もなく興奮し、怒号を発し、情緒不安定になるというタイプの統合失調症という事になります。
発症の状態が非常にコロコロと変化するのも特徴のひとつで、一日単位で変わっていくので、周りの人にとってはかなり接する事が困難と言えます。
ただ、緊張型は統合失調症の中では軽度のものとも言われており、数ヶ月で治るケースも多いようです。
あまりに長期的に症状が続く場合は人格崩壊の恐れもありますが、近年ではそういうケースは稀だそうです。

これだけを見ると、ただ情緒不安定で感情の起伏が激しい人との区別が付きにくい病気のように思われますが、実際の統合失調症の患者の場合は、興奮した際に通常とは違う挙動を見せます。
例えば、同じ姿勢を継続し、昏迷状態に陥って、回りの声に反応を示さなくなるといった状態になったりします。
意識はあるようなので、実際には聞こえているようなのですが、同じ体勢のまま固まって動かないそうです。
この状態の時に心無い言葉を患者に浴びせると、それを患者は認識し、心の傷となる事も多いようですね。

緊張型の統合失調症は、現在ではあまり見られない病気ではありますが、周りの理解が比較的難しい病気と言えます。

2010年2月19日金曜日

破瓜型

統合失調症における分類のうち、破瓜型は比較的低年齢層に発生するタイプと言われています。
「解体型」とも呼ばれている破瓜型の統合失調症は、思春期前半から発症するケースも多く、大体15†25歳くらいの年齢の方が多いと言われています。
日本人の統合失調症患者の中では、破瓜型はかなり多い方ですね。
つまり、日本は比較的この破瓜型に陥りやすい環境であるという見方もできます。

破瓜型の特徴は、感情表現の欠落にあります。
初期症状として見られるのは関心や意欲の低下で、何に対しても無気力になってしまうというケースが多いようです。
初期の段階では、幻覚を見たり妄想を過度に働かせたりはしないようです。
そして無気力状態が続く中、徐々に他者とのコミュニケーションを拒絶し、思考が現実との整合性を失っていき、最終的には人格が崩壊、荒廃するというのが、この破瓜型の病状といえます。

これだけ見ると、最近日本で問題となっている、とある病気を連想する方も多いのではないでしょうか。
そう、自閉症です。
統合失調症の破瓜型というのは、自閉症とかなり共通点が多いのです。
近い病気といえるのかもしれません。
他者との関わりを過剰に拒む結果、精神の安定を欠き、過敏になり、同時に無気力状態が進行し、バランスが崩壊していくという点においては、自閉症とほぼ同じかと思います。
現代の日本で非常に多く見られる病気のひとつです。
ただ、統合失調症と自閉症はやや異なる部分もあるので、全く同じという事ではないようです。

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2010年2月18日木曜日

妄想型

統合失調症の分類の中のひとつである、「妄想型」は、その名の通り妄想が病気の直接的な要素となります。
世の中には、妄想癖という癖があるくらい、妄想自体は普通にまかり通っているものですよね。
実際、妄想をしない人間なんてまずいません。
これが病気と言われれば、世の中の人間全てが病気という事になります。
従って、ただ妄想しているだけが統合失調症というわけではありません。

妄想型というのは、妄想の世界と現実の世界の境界がわからなくなった人が主に該当します。
妄想というものが頭の中で描かれた虚構の世界であるということを理解できなくなったり、理解はしていてもそれが現実であるかのように振舞う事しかできなくなった場合に、統合失調症であると判断されるようです。
このタイプの特徴は、自閉的にはならず、社交的な状態でも進行しているという所です。
実生活では普通に振舞っている状態でも、誇大妄想、被害妄想といったものがとあるきっかけで暴走するケースなどがよくあります。

この妄想型が、統合失調症という病気に該当するかどうか非常に難しいところではあります。
よく漫画などで、妄想癖のあるキャラクター、異様に嫉妬深いキャラクターなどが出てきますが、あれは現実にそういう人が結構多いからこそ成り立つのです。
つまり、ある程度妄想型に該当しそうな人は多いのではないかという推測が成り立ちます。

それこそ、周囲の人間に多大な迷惑を与える、特に罪を犯すというレベルに達した人の場合は問答無用で統合失調症と判断されるでしょうが、そこまでいかない場合は果たしてどうなのか、という点においては、診断が難しい病気と言えるでしょう。
妄想型は、よく犯罪の動機としても用いられます。
その為、病気として良いかどうかという判断材料はかなり研究されているようです。

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2010年2月17日水曜日

統合失調症の分類

統合失調症は、非常に複雑な病気です。
精神疾患自体がそういう傾向の強い病気で、ひとつの病名で括ってはいても、原因、症状、治療方法は全く異なるというケースは珍しくありません。
実際、優秀な精神科医の方はひとつの病気で括る事はせず、その患者独特の治療法を模索するために、様々な質問をぶつけると言います。
人の数だけケースがあるというのが精神疾患の特徴と言えるでしょう。

ただ、それはあくまで治療を視野に入れての事で、解説として語る上では少なからずカテゴライズが必要です。
ここでは、統合失調症の分類について、すこし触れていきます。

統合失調症は、主に5つのパターンがあると言われています。
妄想型、破瓜型、緊張型、残遺型、単純型の5種類です。
統合失調症を患った場合、まずどの種類に分類されるのかを正確に見極めたうえで、治療にあたるという事になります。
この段階で、既に全く違う病気と言っても過言ではありません。
つまり、分類の違う妄想型と緊張型では原因も治療方法も異なるという事です。
精神疾患の厄介な面ですね。

統合失調症は、数多くの病気の集合体と考えていいかもしれません。
ひとつに括られているものの、原因がはっきりしない以上は、別の病気であると考えても良いでしょう。
ある意味、統合失調症という名称は付いていても、精神疾患という大きな括りとそれほど変わらないと言えるかもしれません
だからこそ「統合」という言葉が用いられているのです。

2010年2月16日火曜日

神経発達障害仮説、心因仮説など

統合失調症には、いくつかの要因が考えられています。
その中には、神経発達障害が原因なのではないかという考えもあるようです。
人間の身体は、細胞の塊ですよね。
細胞は、毎日数多く死に絶え、同時に生まれています。

それは脳も同じで、神経細胞はどんどん死に絶え、死骸となっています。
その死骸を掃除するのが「グリア細胞」と呼ばれるものですが、統合失調症になると、そのグリア細胞が増えないと言われています。
これが胎児の状態から既に起きているのではないか、というのが「神経発達障害仮説」です。
胎児期に神経発達を妨げる現象が起こり、そこで脳に異常が発生していて、思春期などに統合失調症として発生するのではないか、という説です。

「心因仮説」というものもあります。
これは、そのまま心に問題があるという仮説です。
ですが、精神疾患でありがちな、人間関係や虐待、心的外傷が要因とはされていません。
コミュニケーション能力の問題のようです。
通常、コミュニケーションは言葉で行いますが、言葉をそのまま鵜呑みにせず、行間を読むというのが一般的なコミュニケーションのやり方です。
しかし、それができず、そのままの解釈しか交流が成立しないという人が中にはいます。
この環境を生み出した事こそが、統合失調症の要因では?と考えられているようですね。

また、「前頭葉機能低下仮説」というものもあります。
脳の前頭葉の機能、とりわけワーキングメモリーと呼ばれる部分の能力が十分に働いておらず、話は聞いていても意味を理解できないという状態になっている人が、統合失調症になるのではないか、という説です。

こういった仮設は、全て正しいかもしれません。
複合的な問題が絡み合った結果、統合失調症という病気が発生するのではないでしょうか。
これらの原因が特定されるまでは、まだ時間がかかりそうです。

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2010年2月15日月曜日

ドーパミン仮説とグルタミン酸仮説

ここからは、統合失調症の原因なのでは?と言われているいくつかの仮説について検証していきます。

まず、「ドーパミン仮説」についてです。
ドーパミンというのは、中枢神経系にある神経伝達物質のひとつです。
アドレナリンの前躯体としても知られていますね。
比較的よく使われる言葉かと思います。
このドーパミン作動性神経が、統合失調症になると上手く作用しない事から、統合失調症を発症するのはドーパミンが原因であるという仮説が立てられました。
つまり、神経を伝達する物質が異常をきたし、五感に誤認識をさせるという事ですね。
実際、麻薬などを使用した場合、幻覚などを見るという症状が現れますが、それはドーパミンの暴走によるものと言われています。
これと似た症状が脳内で起こっているというのが、ドーパミン仮説です。

また、グルタミン酸仮説というものもあります。
これは、ドーパミン仮説では説明できない部分がある事から生まれた仮説です。
フェンサイクリジンというかつて麻酔薬として使われていた薬を使用すると、現在の統合失調症と同じ症状が現れました。
このフェンサイクリジンには、グルタミン酸神経受容体を塞ぎ、神経活動を抑えるという特徴がありました。
その為、グルタミン酸が影響しているという結論に至り、結果同じような症状である統合失調症にグルタミン酸が関与している可能性が高い、という仮説が立つに至ったのです。
現在ではドーパミン仮設以上に信憑性が高いのではないかと言われています。

<a href="http://www.kyj-kyj.info/">株式用語辞典KYJ</a>

2010年2月14日日曜日

統合失調症の原因は仮説ばかり

統合失調症という病気は、古代ローマ時代から存在していた事は既に確認されている通りです。
そして、この病が精神病の一種であるという事が公式に発表されたのは、1800年代です。
つまり、本格的に統合失調症の研究が始められたのは、今から200年くらい前の話という事になります。

これだけの長い間研究が重ねられてきた病気ではありますが、実はその原因に関しては特定されていません。
これまでの研究において、脳に異常が発生している、環境が原因に関与している、遺伝的要素がある、といった仮説が立てられていますが、特定には至っていません。
よって、現在のところ、統合失調症という病気の明確な原因は不明である、というのが実情です。

ただし、原因が不明だから予防や治療が不可能という事ではありません。
明確な原因が特定できていないだけで、その原因と推測される仮説はいくつも立てられています。
これが全く間違いだという事はないので、これらの仮説から予防や治療方法が確立されています。
それらは実際に効果を生んでいるので、立派な解決法と言えるでしょう。

とはいえ、原因がはっきりしない病気というのは不気味なものです。
精神疾患の多くは原因がはっきりしない事が多いのですが、それはあくまでも具体的な出来事に対して特定できないというケースが多いのであって、メカニズム的な部分が不明瞭という病気は少ないかと思います。
それでも、この統合失調症を始め、まだまだ未踏の部分が多いのが、精神疾患の特徴であり、同時になかなか世間一般から普通の病気とみなされにくい要因となっています。

<a href="http://lib.showa-u.ac.jp/index.html">昭和大学図書館</a>

統合失調症は身近な病気

有病率を見ても明らかですが、統合失調症という病気は、決して特殊なものではありません。
もっと身近な、私達の周りにも、そして私たち自身にも存在しうる病気と考えていいかと思います。
有病率0.5%†2%という数字がどの程度なのかというのを認識するため、他の病気の有病率の例を挙げてみましょう。

まず、喘息。
学校のクラスメートの中に、恐らくは一人や二人はいるのではないかと思われる病気ですね。
この喘息で、有病率3%程度と言われています。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍で、1†2%です。
つまり、こういった病気と統合失調症はほぼ同じ割合、同じ数の患者がいるということです。

喘息や胃潰瘍が特殊な病気であるという認識は、まずないかと思います。
ありふれた、よくある病気のひとつですよね。
つまり、統合失調症もまた、そういう病気の中のひとつという事です。

精神分裂病と呼ばれていた頃は、こういった考え方がなかなか認められませんでした。
極めて特殊な病気で、そんな病気にかかっている者が身内にいることは恥ずかしいとさえ言われていました。
それが重大な誤りである事に社会が気付いたのは、つい最近の事です。
そう考えると、社会は病みつつも成長していると言えます。

統合失調症が身近な病気であるという事の証拠のひとつに、多くの著名人がこの病気で苦しんでいるという事実が挙げられます。
例えば、あの有名画家ゴッホも、統合失調症の患者だったと言われています。
これについては正しいかどうかはわかりませんが、そういう説があるということです。
また、ジョン・ナッシュというノーベル経済学賞を受賞した数学者や、画家で小説家の草間彌生さんもこの病気の患者だったと言われています。
この例からもみてとれるように、統合失調症は文化人に多く見られる病気と言われています。

<a href="http://www.sumai-town.com/">住まいの情報タウン</a>

2010年2月12日金曜日

統合失調症の有病率

統合失調症は、決して特別な病気ではありません。
その証拠のひとつと言えるのが、「有病率」と呼ばれるものです。
有病率とは、ある特定の場所における疾病者の割合を指す言葉です。
これと同様に、一定期間に初めて発病した患者の割合を指す「罹患率」というのもあります。

では、統合失調症の有病率はどの程度なのでしょうか。
区域で特別な偏りがあるわけでもなく、大体0.5†2%となっているようです。
2%というのはどういう数字なのかというと、とある町で検診を受けた人が1万人いたとしたら、その内の200人が該当するという割合です。

これは「検診実施時の統合失調症有病率」という表し方をします。
つまり、本当にその町全員を調べて出した数字ではないという事ですね。
ただ、町の全員が検診を行う事はないので、本当の意味での正しい数字は出しようがなく、実質的にその数字がこの町の有病率となります。
サンプル数的に見て、統計学的には問題がない数字なので、信憑性は高いと言えます。

つまり、これを日本にあてはめてみると、人口1億3000万人中、大体100万†200万人くらい入るだろうと推測される病気である事がわかります。
この数字を見れば、統合失調症が特段珍しい病気ではないという事がわかるかと思います。
実際、こういった病気は現代病と言われがちですが、遥か昔から存在していました。
そして、それが病気であると認識されたのは、つい最近の事です。
全ての患者が病院に行っているわけでもないため、潜在的にはかなりの数に上るのではないかという事も予想されます。

2010年2月11日木曜日

統合失調症の歴史 1900、2000年代

統合失調症における歴史は、1900年代に突入すると大きく変動します。
まず、1911年にスイスの精神医学者オイゲン・ブロイラーによって、早発性痴呆という名称が変更となります。
ここで登場するのが、多くの人が知るところとなった「精神分裂病」です。
そして、その変化はただ名前を変えただけには留まらず、より正しい認識へと導かれていきます。
精神分裂病は、痴呆とは種類の違う病気であるという見解がなされたのです。
結果的にこの見解は正しいとみなされ、精神分裂病という名称と共に、一般人の知るところとなっていきます。

この後、世界の精神医学者たちは精神分裂病の治療方法を探し研究を行います。
1952年には、フランス人の精神科医がクロルプロマジンによる治療効果の評価を行い、これ以降精神疾患に関する治療は飛躍的に進歩していきます。

2000年代に突入すると、精神分裂病という名称は統合失調症に変動します。
これまであった精神分裂病への誤った認識を改めるためです。
精神が分裂するというのは、通常私たちが使用している意味の精神が分裂するわけではないという事を明確にするための処置でした。

これらだけでなく、2000年代に入ると、様々な精神疾患に対しての認識が変化していきました。
これは、1990年代に入ってから、精神疾患自体がかなり社会問題に発展した事が原因です。
この流れから、統合失調症に関しても、かなり認識が変化してきました。

2010年2月10日水曜日

統合失調症の歴史 1800年代

精神疾患は、かなり昔から存在が確認されていた病気です。
統合失調症に関しても、既に古代ギリシャ時代から、その症状が知られていたと言われています。
統合失調症は決して現代が生んだ病ではないという事です。
ただ、これが病気であるという認識がなされたのは、そのだいぶ後の話です。
例えば、中世の時代では、こういった病気は病気とはみなされず、幻覚を見たり幻聴を聞いたり、あるいは不可解な言葉を発するという症状を発症した人に対しては、「悪魔つきである」という見方をなされていました。
よく物語などで語られる事のある悪魔つきなどというのは、統合失調症が原因ではないかとも言われています。

統合失調症が病気と認識されたのは、1800年代に入ってからです。
1852年、フランスの精神科医のモレルにより、はじめて統合失調症が病気として公式に発表されました。
しかし、当時はまだ研究が進んでいないため、病気の分類としては、現在における認知症のような扱いだったようです。
病名は、日本語に訳すと「早発性痴呆」となっていました。

この後、1800年代後半になってくると、ドイツ人によって多くの統合失調症が明らかになっています。
緊張病や破瓜病などです。
そして、1899年にドイツ人のエミールという人が、それらをまとめて早発性痴呆とした、と言われています。

1800年代において、統合失調症はまだ研究の初期段階でした。
それでも、これらの症状が病気であるという事を認識できたというのは、非常に大きな前進であったと言えるでしょう。

2010年2月9日火曜日

統合失調症という病気

統合失調症という病名を御存知の方が、果たしてどれくらいおられるでしょうか。
恐らくはあまりいないのではないかと思います。
というのも、この病名はつい最近生まれたものだからです。
2002年までは、統合失調症ではなく「精神分裂病」と呼ばれていました。
この「精神分裂病」という病名は、聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。

精神分裂病という呼ばれ方をしなくなり、統合失調症という病名になってまだ10年も経っていないので、名前自体にはあまり知名度がない状態ですが、その症状に関しては、既に明治時代から認知されていました。
ただ、精神分裂病という名称は、あまり好ましく思われていなかったようです。
精神が分裂するというこの病名は、普段私たちが使う意味での精神ではなく、医学用語としての精神を意味します。
にも拘らず、精神という言葉を日常で使う方の認識で私たちは理解しますよね。
その為、病名と実際の病気との間に認識の剥離が生まれてしまいました。
そういったこともあり、2002年にようやく名称が変わったのです。

この病名が変更になった背景には、病気そのものへの偏見、あるいは蔑視といったものが少なからず含まれていた事もあります。
現代の世界において、精神疾患はだいぶ見直されてきてはいますが、やはりまだ完全とはいえず、偏見の目はまだ数多く残っています。
統合失調症で苦しんでいる方の多くは、病気自体だけでなく、そういう環境に悩まされているという事を、是非多くの人に認識して欲しいところです。

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